TOBにおけるDDは不自由がいっぱい!?
今回はTOBにおけるデューデリジェンス(DD)の流れについて整理します。
これは、通常の相対取引におけるDDの思考プロセス、手続の順序にもつながると考えてよさそうです。
?.TOBにおけるDD総論
TOBにおいては、ノンアクセス、リミテッドアクセスDDが多い。
ただし、TOBの対象になるような会社は公開情報も多いため、ノンアクセスでもある程度把握できる点が救いである。
1.ノンアクセスDD
TOB、特に敵対的TOBについては売り手から情報を入手することは難しいので、ノンアクセスベースでDDを実施することが有意義である。
この段階のDDの目的は以下の点にある。
- 検討中の取引が実現不可能か?
- ディールブレーカーの発見
そのために、以下のような情報収集が進められる。
?概括レベルでの業界リサーチ
- 競業状況
- 独特の会計方針・会計処理
- 規制
- 許認可
?公開情報、入手できた情報の分析
- 有報
- プレスリリース
- 株価情報・新聞・雑誌等
上記の情報収集後、以下の点について検討が行われる。
- 対象会社の沿革
- グループ組織
- 対象会社のビジネスモデル
- 設備投資
- 資金調達
- 財務状況
- 会計方針の違い
TOBは価格や取引実行面で規制が多いため、ディールブレーカーが発見された場合でも治癒または緩和するための選択肢は限られている。そのため、重要な問題点はできるだけ早くに発見し、実行の可否を決定しなければならない。
2.リミテッドアクセスDD
この段階での目的は買付価格の見直し、修正にある。
上記目的のために以下の手続が実施される。
- ノンアクセスDDで識別された問題点のフォロー
- 会社のビジネスプランと過去の実績データとの整合性についてのディスカッション
- 詳細な会計方針・会計処理の方法についての調査
- 関連当事者間取引の把握
- 過去の監査指摘事項の検討
- 経営権が変わることによる発生コストの見積り
3.フルアクセスDD
さらに、時間があればフルアクセスDDも実施され、以下のような手続が実施される。
リミテッドアクセスDDのフォロー
- 正常収益力の算定
- 運転資本の状況の把握
- 設備投資の把握
- 資産・負債の評価
- 偶発債務の詳細
- キャッシュフローが買付価格に与える影響
- ビジネスプラン・予算の実績との比較、検討
以上、ご意見・ご指摘がございましたらご一報お願いします。