合併等統合型再編のDDの留意点

今回は以前の統合型再編の特徴についてのエントリに引き続き、DD上の留意点について整理したいと思います。

?.留意点

まず、結論として下記の2点が留意点として挙げられます。

  • クロスの調査になる
  • 統合の影響の調査がポイントになる

以下で、この2点について掘り下げてみます。



?クロスの調査について
 なぜ、クロス調査になるかというと、合併等統合型の場合、株式が対価になることがあるため、セルサイドにとっても譲渡対価の価値を把握しなければならないからです。
 また、合併比率算定の際には双方の株式価値を同じベースで比較しなければならないので、会計方針及び処理の差異については影響を検討する必要があります。したがって、調査対象のみならず依頼主についての情報にも留意する必要があります。

 なお、親子間の統合については、子会社が親会社のDDを省略する場合があります。しかし、子会社の少数株主は親会社の株主と利益が相反するため、子会社の少数株主の保護のためにもDDを実施することが望ましいといえます。

?統合の影響について

 販売活動や仕入、生産、研究開発活動、人事上、システム上、環境上、法務上、税務上の各点について重複を解消し、統一すべき事項は調整、清算しなければなりません。

 特に、財務上では有利子負債の比率に注意して、債権者の同意が得られることを事前に確認しておかなければななりません。同意が得られる場合であっても、債務者区分、格付け、金利負担、追加担保について影響がないか確認したほうがよいです。さらに、運転資金の変動による影響を検討する必要があります。

 また、会計上は会計方針及び処理の統一による影響を検討する必要があります。他にも、従来連結対象外の会社が統合により、出資比率が変動し新たに連結対象になるかどうかについても検討する必要があります。

以上、ご意見・ご指摘等がございましたら、お待ちしております。