会社の切り分けはケーキと違って難しい!?

というわけで、今回は業務分離に焦点を絞って論点を整理したいと思います。

?.業務統合及び業務分離の問題点

一般に業務統合についての問題点になりうる事項として、以下の事項が代表的な例と考えられる。

1.人事制度
2.不採算、ノンコア事業
3.重複設備、システム
4.重複事業所の人員

また、業務分離については

1.従来の本社費用の負担と比較して、「分離事業の単独運営費用(例.総務・経理に係るコスト)」が増加又は減少することによる影響
2.内部取引の解消の影響
3.外部との取引条件の変更(ブランド価値に変動が生じた場合)の影響

が問題となりやすい(総じて「スタンドアローン問題」といわれる)。

?.バイサイドから見た買い方によるメリットの違い

会社ごと買収した場合、企業文化の違いから買収事業が機能しなくなるリスクが減少するメリットがある。

一方、会社から全部の事業を買収した場合には、事業が有機的一体として機能しなくなるリスクが減少するメリットがある。

さらに、会社から一部の事業を買収した場合には、買収後の統合、再編を柔軟に行うことができるメリットがある。

?.分離方法の選択

(1 総論)
分離の方法としては、
1.対象事業をそのまま相手先に売る方法
2.相手先の対象事業も切り出して合弁会社を設立する方法が考えられる。

1は対象事業に今後関与しないと考えている場合に採用すべきである。

一方、2のほうが今後も対象事業に関与したいと思う場合、セルサイドとしてはガバナンスが効きやすいので望ましい場合が多い。

(2 具体的方法)
金銭の授受がないスキーム(会社分割等)を採用した場合、以下のメリットがある。
1.契約関係が包括的に移転するため分離後の事務手続が煩雑にならない。
2.資金の手当が必要にならない。
3.事業分離に伴う損益が発生しない場合がある。

一方、金銭の授受があるスキーム(営業譲渡等)の場合には、以下のメリットがある。
1.移転させる資産、負債、契約等を選べる。
2.特に、偶発債務を限定できる点は大きい。ただし、個別の資産に紐づいている債務は引き継がなくてはならない。

今回は長くなったので、今度はスタンドアローン問題について突っ込むのは
今度にします。

以上、ご意見・ご指摘等ありましたら、お待ちしております。